青年海外協力隊

【JICA海外協力隊】2年の活動で<もらえるお金>と<出ていくお金>

JICA海外協力隊(青年海外協力隊)として海外で長期に住むにあたって気になる現地での生活費や日本でかかる税金などのお金の話。

海外に住むとなるとその費用や生活面での出費が心配です。このブログではもし、青年海外協力隊として2年の長期で海外に派遣されるとしたら、という観点で「入ってくるお金」「出ていくお金」を中心に解説します。このブログが少しでも協力隊参加にあたっての不安解消につながれば嬉しいです。

ちなみに本記事で紹介する待遇等は、JICA海外協力隊のHPにも書いてありますのでご参照ください。(よくある質問、の待遇のところをチェック!)

JICA海外協力隊HP

※なお、この記事は2020年5月時点の情報をもとに執筆した記事です。制度面等変更があった場合、本記事の内容と実際の制度に差異がある場合がありますので、ご了承ください。

貯金0でも参加できるのが協力隊

まず、不安がある方もいると思うので最初にご紹介しておきますが、協力隊に参加するにあたって、わかりやすく一言でいえば、貯金がなくても参加できます。これは他の海外に行く手段(留学やワーキングホリデー、WWOOFなど)と異なるところ。

それは、海外に行くにあたって最初にかかる費用(往復の交通費や現地での生活費)などを心配しなくても大丈夫な待遇があるからです。海外に行くとなると、渡航費や準備にお金がかかるけれど、一文無しで協力隊として参加はできるのだろうか…と不安になるかもしれないですが、JICA海外協力隊の場合は、渡航費や現地生活費などを心配することなく、活動ができます。

先に断っておくと、協力隊はボランティアであるため、「給料」の支給はありません。しかし以下のように国内手当や海外生活費の支給があるため、生活などでの不安をすることなく、ボランティア活動をすることができるのです。タイトルに「給料」と書かず「もらえるお金」と書いているのはそのためです。

さて、もらえるお金出ていくお金に分けて、簡単に紹介します。

2年間でもらえるお金<収入>

一番気になる収入の話。勤めていた会社等を辞めて2年間海外で暮らすことの不安があるにもかかわらず、たくさんのボランティアたちが派遣国で活動できるのは、このJICAのありがたい待遇のおかげで現地の生活費の心配をしなくていいからです。さて、詳細を見てみましょう。

主に支給があるのは下記の通り。

  • 国内手当(訓練時・派遣先生活時)
  • 海外生活費
  • 海外住居費
  • 支度料と移転料 ※現在も支給があるか不明
  • 往復渡航費
  • 医療費
  • 協力活動完了金
  • その他、研修手当など

国内手当

一律で月額55,000円、指定した日本国内の口座に振り込まれます。主に日本国内で必要となる経費に充てることができます。

海外生活費

現地生活費は、物価や現地の人の生活に合わせて国ごとに生活費がいくらか決められていて、基本的に派遣国の口座に米ドルで毎月支給されます。

これは国ごとで金額が異なりますが、月におおよそ4万~7万くらいです(2020年5月時点)。この額は、現地で普通の生活をするには何も不自由することのない額という設定です。

派遣国にもよりますが、日本の物価の3分の1などの物価で過ごす国が多いです。そのため、4~7万という金額は日本の物価の感覚で12~21万くらいで月々暮らす、といったイメージになると思います。

現地生活費はその国の物価等に合わせて毎年見直されているようですが、同じ国の中でも物価が高い街・低い街が存在します。住む街の規模間や観光地かどうかなどにもよりますが、観光地へ派遣された場合、物価などが高いため、JICAから支給される現地生活費だと少し苦しい、、という意見も聞きました。国や街の開発度合いで少し幅があるといえるでしょう。

海外住居費

海外住居費は「現物支給」となり、お金をもらってその中でやりくりをするのではなく、家賃分をもらってそれを大家さんに支払って生活します。そのため±0です(厳密にいうと光熱費・通信費は隊員持ちになります)。派遣国では指定された住居で暮らすことになります。ホームステイにしてもアパート式のところにしても基本的には大家さんがいて、その大家さんに支払います。

金額は住む家によって違っていますが、その分の金額をJICAが支給してくれるので住む場所も心配はいりません。

支度料と移転料 ※現在も支給があるか不明

海外で必要なものを揃えるための準備金であったり、海外に行くにあたって大きな移動をすることになるのでそれに伴う移転料を支給してもらえます(引っ越し代のようなものです)。

例えば派遣国に行くためにスーツケースや飲み慣れた薬が必要だったり、事前に派遣国に荷物を送ったり生活に必要なものを新しく買いそろえる必要がありますよね。そういう費用に充てることができます。

支度料は一律で90,000円

移転料は派遣国によりますが100,000円前後です

※なお、この情報は2020年時点のものであり、現在は制度が変わっている可能性があります。

往復渡航費

往復渡航費は現物支給となり、お金としては支給されませんが、派遣国に行く際・派遣国から帰る際の往復航空券代としてチケットを取ってもらえます。また往復渡航にに伴う交通費は経費として支給されます。

もちろん日本国内の国際空港までの移動費も支給対象です。

医療費

協力隊での任地での生活にかかる医療費も補填されるので心配しないで大丈夫です。こちらは、かかった分だけ後日支給となります。

私も何度かおなかを壊して病院にお世話になりましたが、医療費の補填があるので我慢しすぎることなく早期に病院に行くことができました。

協力活動完了金

派遣期間を終了した人に対して帰国時に一括払いで月額20,000円×派遣期間分が支給されます。

少し前までは帰国社会復帰手当&初動生活手当という名前での支給だったようですが制度変更により仕組みが変わったようです。協力隊に無職で、もしくは無給休職で参加した隊員に付与されます。主に失業手当のような位置づけですね。

その他、研修手当など

主に協力隊活動に参加するにあたってのその他の費用です。

研修費用:派遣前訓練前に研修が必要な人に通知され、職種によっては研修を受けることがあります。例えば派遣国でバイクを乗るのであればバイク研修がありますし、私もコミュニティ開発隊員としてコミュニティ開発研修がありました。その研修の手当ては日割りでもらえます。

派遣前訓練手当(本邦支出対応手当):協力隊は派遣前訓練という70日間の訓練があり、基本的に全員参加で語学や任地での生活で気を付けることなどを学びます。その期間も働けないので手当てがつきます。これは月額40,000円の70日間分。つまり70日間でトータル約10万円弱です。

その他交通費や関連経費等:例えば訓練所に行くまでの交通費であったり、派遣国に行くために最寄りの空港に行く際に1泊ホテルに泊まる必要があるなどの場合に支給されます。

2年間で出ていくお金<支出>

個人差はあると思うのですが、主に下記のようなものがあります。

  • 現地での生活費
  • 日本で支払いが必要な税金など
  • 協力隊参加にあたっての準備費用

あとは旅行や語学勉強の費用であったり趣味など個人的にかかるものですね。出費についてはかなり個人差がありますが、一般的に出ていくお金として次に紹介します。細かく見ていきましょう。

現地での生活費・医療費

毎日の食費やトイレットペーパーなどの生活雑貨の費用。上に書いた通り、これはJICAから支給を受ける現地生活費で賄えます。任地で使う費用は、派遣国にもよりますが、日本よりは物価が低いことが多いのでそこまで高くつかないです。

私が暮らした中では次のものが生活費としてかかりました。

光熱費、通信費、食費、交際費、旅費、日用品費、通勤費、衣服代、娯楽費など。

病院にかかることがあればその費用は一度自身で負担となりますが、上に書いた通り、医療費はJICAが負担してくれるので申請すれば、後日そのかかった分を支給してもらえます。

日本で支払いが必要な税金など

主に、住民税、所得税、国民年金などです。また奨学金や保険に入っている人はその費用も。下記をご参照ください。

~派遣期間中の税金・保険料等について~

出発前に転出届を出す場合、下記の通りになります。

住民税最初の1年は前年度に対しての支払いあり。そのあとの2年は支払いなし。(住民税は、前年度の収入に対してその次の年の1月1日にいた市町村に対して支払います。請求はその年の6月に来ます。そのため、協力隊参加まで収入があった場合支払い対象になります。一方そのあとの2年は非課税となるので支払いはありません。

例えば、2020年に働いていて収入がある人が2021年3月に協力隊として海外に行く場合、2021年1月1日にいた市町村に2020年の収入の分の住民税を支払います。この時、請求は2021年6月に来ます。2021年3月から2023年2月までは非課税なのでその間の2年間分の住民税の支払いはありません。)

所得税支払いはありません。派遣期間中に支給される手当は非課税とされています。

国民年金支払うことも支払わないこともできます。海外に居住している間は非加入で大丈夫なので支払いは強制されません。一方、将来もらえる年金の額が減ってしまったり、海外で自分の身に何かあった時に後遺症が残ったりした場合の「障害年金」を受給できなくなるするので任意加入をすることをJICAはお勧めしています。手続きをすれば先払いをしたり継続して支払い続けることができます。

医療費・社会保険支払いはありません。協力隊として海外にいる間はJICAの保険が適用となるので基本的には医療費の自己負担はありません。また出国前に転出届を出して国民健康保険を脱退することになるので日本国内の保険料の支払いがないのです。

税金や保険料に関する詳細はお住みの市町村や税務署にご確認ください!(※上記は、個人的に調べた情報のため、間違っている可能性もあります。正確な情報はお住いの市町村や税務署等へご確認をよろしくお願いします。)

また、JICAのHPでも行政手続きについて詳細に記載があります。ご確認ください!→こちら

ちなみに、国内でかかる税金やもろもろの費用についても上記の通り国内手当があるのでそこまで大きな心配はありません。

協力隊参加にあたっての準備費用

2年の慣れない途上国生活となるので、いろんなものを準備する隊員もいると思います。(私もそのうちの一人でしたが、)この準備費用も割と高くつきます。

これらは上記に書いた通り支度料移転料の支給があるので心配はいりません。

ざっくり収支のシミュレーションをしてみよう!

「2年間+派遣前訓練70日として、無職状態で参加した青年海外協力隊の場合」の条件で、シミュレーションをしてみましょう。

◆もらえるお金

項目金額期間全期間の合計
国内手当(訓練時)40,000円/月70日間90,000円くらい
国内手当(派遣先生活時)55,000円/月2年間1,320,000円
海外生活費50,000円/月 ※国による2年間1,200,000円 ※国による
海外住居費0円(現物支給のため)0円
支度料・移転料190,000円/一括190,000円
往復渡航費0円(現物支給のため)0円
医療費0円(現物支給のため)0円
協力活動完了金20,000円/月2年間480,000円
その他、研修手当など0円 ※例0円
合計3,280,000円

◆出ていくお金

項目金額期間全期間の合計
現地生活費50,000円/月 ※例2年間1,200,000円 ※例
日本での支払いが必要な税金など20,000円/月 ※例2年間480,000円 ※例
協力隊参加のための準備費用300,000円/一括 ※例300,000円 ※例
日本への一時帰国費400,000円/一括 ※例400,000円 ※例
合計2,38,000円

上記が2年分(+訓練期間)シミュレーション結果になります。出ていくお金(出費)については個人差があるので何とも言えませんが、だいたいこのくらいは見ておいたほうがいいのでは?というあたりを計算してみました。

これは、派遣国、派遣期間、短期派遣か長期派遣か、自身の生活レベルによっても変わってきます。一例としてご参考いただければ幸いです。また、もし派遣期間中に日本へ帰国するなどなった場合、緊急の事情を除いて、隊員の自費での一時帰国となります。念のため上記のシミュレーションではそれも載せてみました。

最後に

上記の紹介した支給のうち、協力活動完了金は任期満了で初めて支給。それ以外は派遣期間に応じて、もしくは一括の支給となります。

JICA海外協力隊の手当ては、派遣国で安心して生活しながら活動するには特に心配いらないようなフォローがされています。この記事が協力隊にチャレンジする際の参考になれば嬉しいです。最後までお読みいただきありがとうございました!